怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
そんな昼休みを過ごして少し疲れてしまった私だけれど、午後になると弁護士先生に頼まれて弁護士会が運営する図書館へ行くことになった。そこで必要な本を数冊借りてくるのだ。
その用事を済ませて外に出ると、ざあざあ降りの雨が降っていた。
弁護士先生から『午後は天気が急変するらしいよ』と聞いていたので、念のため事務所の傘を借りてきて正解だ。
でも、バケツの水をひっくり返したように降るこの雨の中を歩くのは少しためらわれてしまう。チャックのついたバッグに借りた本をしっかりと閉まっているけれど、万が一に濡れでもしたら大変だ。
もう少ししたら降り方が弱まるだろうか。そうなることを願いながら、しばらくはこの場所で雨宿りをしていくことにした。
激しく振る雨の様子をエントランスホールの中から眺めていると、ふと隣に誰かが立つ気配がしてそちらに顔を向ける。
「うわっ。すごい降ってるな。最悪だ」
細身のスーツ姿の男性が困った表情を浮かべていた。その襟には見慣れたバッジを付けているので、おそらく彼は弁護士なのだろう。
私と同じくこの建物に用事があって訪れた帰りかもしれない。