怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
今日は帰りにスーパーで美味しそうな鮭を買ってきたのでホイル焼きにして、あとはなすと油揚げの味噌汁、そして副菜を作る予定だ。
それがちょうど出来上がった頃、ダイニングテーブルに置いたままの携帯端末が震えていることに気が付く。
悠正さんからだろうか。そう思い手に取ると、着信は母からだった。
以前のような束縛からは解放されたものの、母の根本にある私を心配する気持ちはやはり変わらないらしい。
昨日も電話がかかってきたけど、今日もまた……。
端末を耳に当てると、聞き慣れた母の声が耳に届いた。
《もしもし、優月》
「お母さん、どうしたの?」
《ううん、特に用事はないの。今なにをしているのかなと思っただけよ》
「今? 晩ご飯を作り終えたところ」
用事がないならわざわざ電話をしてきてほしくない。でも、そんなことを母に言えるわけがなく、私は大人しく通話を続ける。
《優月の今晩のお夕食はなにかしら》
「メインは鮭のホイル焼き。スーパーで美味しそうな鮭を見つけたから」