怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~


「どうした?」

 悠正さんもプリンを食べ終えたようで、スプーンを静かにテーブルへと置いた。

 頬杖をつきながら私を見つめて続きの言葉を待っている彼に、私は今日の出来事を話す。


「午後、図書館へ行ったんですけど、そこで悠正さんの親友だという男性に会いました」

「親友?」


 悠正さんが不思議そうに首をかしげる。


「俺に親友なんていたかな」

「鏑木さんとおっしゃっていましたけど」

「……ああ、あいつか」


 どうやらわかったらしい。けれど、どうも反応が鈍い。


「鏑木と話したの?」

 
 すかさずそう問われ、私は図書館のエントランスホールでのやり取りを説明する。


「話したといいますか、傘を渡しました」

「傘?」

「はい。雨が降っていたんですけど、鏑木さんは傘を持っていなくて困っているみたいだったので。私は事務所の傘と自分の折り畳み傘の二本持っていたので、私のを使ってもらおうと思って」

「へぇ」


 それほど興味なさそうな相槌を打たれてしまった。

 親友と聞いたときの反応も微妙だったし、ふたりの関係が気になってしまう。

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