怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「――なるほどな。俺と一緒にバーへ行ったところまでは覚えているのか」
「はい……」
隠岐先生に問われて、私はこくんと首を縦に振った。
只今の時刻は午前九時。
今日は土曜日なので事務所の営業は休みだ。そこで私たちは今、隠岐先生のマンションから歩いて十分ほどの距離にあるカフェでモーニングセットを食べている。
とりあえず場所を変えて‟昨夜の出来事„について話し合うことにしたのだ。
このカフェは隠岐先生の行き着けで、出勤前によく訪れて朝食を取っているらしい。
オーストラリア出身のシェフが経営していて、店内にはあえて英語で書かれたメニューが並んでいるためまるで外国に来たかのような雰囲気を味わうことができる。
隠岐先生と私はゆったりとしたソファ席に腰を下ろし、隠岐先生おすすめのモーニングセットを頼んだ。
トースト、スクランブルエッグ、ベーコン、焼きトマトがワンプレートに盛り付けられていて、追加で注文すると生ハム、ローストしたかぼちゃ、ハッシュドポテトなども付けられるとのこと。さらに卵料理をオムレツに変更することもできるらしい。
隠岐先生は週に二日は通い、その日の気分に合わせてプレートに盛るメニューを変えているそうだ。