怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「悠正さんと鏑木さんはどういったご関係なんですか。親友なんですよね」
「親友というか……まぁ親友でもなんでもいいんだけど、大学の頃の同級生かな。今は弁護士仲間ってところ」
悠正さんは頬杖をついたまま答えて、その視線がじっと私を見つめる。
「あいつに傘貸したの?」
「はい」
うなずいた私を見て、悠正さんが黙り込んでしまう。しばらくするとぽつりと呟いた。
「鏑木とはあまり関わらない方がいいよ」
「どうしてですか?」
「あいつが俺のことをよく思っていないから、かな」
でも、ふたりは親友なのでは?
そんな疑問が浮かんだけれど、鏑木さんと悠正さんがお互いのことを話す様子からは親友のような親しさは少しも感じられなかった。
悠正さんは鏑木さんが自分のことをよく思っていないと言ったけれど、ふたりの間になにがあったのだろう。
気になって尋ねようとしたところで、それを遮るように悠正さんが口を開いた。
「そういえば、優月。今日は無事に部屋まで辿りつけた? 引っ越し初日からこのマンションのセキュリティにだいぶ戸惑っていただろ。だから大丈夫だったかなと思って」
どうやら心配されていたらしい。私はすぐに「大丈夫でした」と彼に向かって答える。
でも、これが毎日続くのだと思うと正直なところ少し面倒だ。