怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「悠正さんはどうしてこんなにセキュリティの厳しいマンションに住んでいるんですか?」
少し厳重すぎなのではないかとさえ思う。
「あー、それは……知りたい?」
すると悠正さんは私を見ながらにっこりと笑った。こくんとうなずいた私を見て、静かに言葉を続ける。
「俺がこのマンションに住んでいる理由は、命を狙われているからなんだ」
「え⁉」
冗談だよね?
なんとなく聞いてみただけなのに、予想以上の答えを返されて思わず動揺してしまう。
命を狙われているって誰から? どうして?
そのときふと先ほどまでの会話の内容を思い出してハッと気が付く。
「……もしかして、鏑木さんにですか?」
「鏑木?」
「はい。だって悠正さん、鏑木さんに嫌われているんですよね」
「嫌われているというか……うん、まぁ確かに鏑木にはよく思われてないけど」
そう答えて悠正さんは黙ってしまった。
やっぱり鏑木さんが悠正さんのことを……?
心配になり真剣な表情で悠正さんを見つめていると、次第に彼の肩が小刻みに震え出すのがわかった。ぷっと吹き出し、そのまま笑い始めてしまう。
「あ、あの、悠正さん?」
笑うような話をしていただろうか。命を狙われているという深刻な話をしていたように思う。きょとんとしていると「ごめんごめん」と悠正さんが首を横に振った。