きみと、どこまでも堕ちていきたい
『わあ…綺麗!その花束どうしたの?』
0時を超える少し前に帰ってきたお姉ちゃんは、少し火照った表情で、珍しく花束を抱えていた。
白色とピンク色の秋桜の花束だった。
『えへへ…実はね』
頬を緩めながら、お姉ちゃんは嬉しそうに話してくれた。
ずっと想っていた人から、帰り際にもらったのだと。
『でねー…付き合おうっていわれちゃった!!』
『えー!!おめでとう!!』
普段から無邪気で明るくて、笑うと花が咲いたように、まわりを明るくしてくれるお姉ちゃん。
この話をしてくれたときは、いつも以上に乙女で、いままで見た中で1番幸せそうな表情(かお)をしていた。
このとき私は高校生で、この日は期末テストが全然できなくて落ち込んでいたけれど、お姉ちゃんの幸せそうな姿を見て、そんなことは忘れて私まで嬉しくなったっけ。
『ありがとう!』
『ねえ、どんな人?写真ないの??』
『えー恥ずかしいなー!ちょっと待ってね』
そう言って携帯の写真をさがして、私に手渡してくれた。