きみと、どこまでも堕ちていきたい
『うわ、超イケメンじゃん!』

『会社の上司なんだ。格好いいし、仕事できるからモテるんだけれど、私のことを今日デートに誘ってくれたの。嬉しかったなあ…』

このとき、初めて見た写真の中の二階堂は、お姉ちゃんとお似合いの人だと思った。

いま人気の若手俳優に似ていて、お姉ちゃんに負けない華があって、これがまさしく“美男美女”なんだと思った。

明るくて、優しくて、綺麗な、私の大好きなお姉ちゃん。
とられるのはなんか悔しいけれど、この人なら、と、納得したのを覚えている。

『…お姉ちゃんが選んだ人なら、性格もきっといい人なんだろうね』

『うん!すっごく優しいの。気遣いもできて、一緒にいたら私、お姫様になったような気分になるわ』

『すごく紳士的な人なんだね』

『うん!そうなの~』

『本当におめでとう。いつか私に紹介してね』

私はこのとき、二階堂が既婚者だと知らなかった。
お姉ちゃんも、教えてくれなかった。

だからその私の言葉に、お姉ちゃんの表情が少し歪んだことに気づいていなかった。
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