きみと、どこまでも堕ちていきたい
食べ進めていると、視線を感じて二階堂のほうを見る。
私のほうをじっと見ていた。

「二階堂さん、食べないんですか?」

「もちろん食べるよ。滝川さんが美味しそうに食べるから、つい見とれちゃって」


ぞわっ


歯の浮いた台詞に寒気がした。
本気でこんなこという男いるんだ。

でも、こんな甘いマスクで言われると、大抵の女性はときめくのだろうか。

「もう…二階堂さん、恥ずかしいから見ないでくださいよ」

気持ち悪いからやめろ、って言いたくなる気持ちを仕方なく抑える。

「滝川さん、食べ方も綺麗だからつい。ごめんね」

そう言って二階堂は置いていたナイフとフォークを手に取り、食べ進める。



お姉ちゃんにも、そんなふうに言って落としたのだろうか。

いや、きっとお姉ちゃんだけじゃない。
何人の女性を、甘い言葉で落として、弄んできたの。
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