きみと、どこまでも堕ちていきたい
「放っておけるわけないだろ」
「え…」
二階堂は私のほうへ歩いてきて、泣いている私の体を包み込んだ。
一瞬、何が起こったかわからなかった。
けれど、しばらくして二階堂の体温が伝わってきて、私は二階堂に抱きしめられていることを理解した。
「二階堂さん…?」
私がそう呼び掛けると、私から体を離す。
近い。
二階堂と目が合う。
やっぱり、初めて写真で見たときから、綺麗な顔立ちだと思っていた。
綺麗な鼻筋、目、肌。
甘い香水の匂い。
もちろん性格も良い、会社でも人気者。
お姉ちゃんが好きになるわけだ。
涙で顔がぐちゃぐちゃだってことを忘れて、二階堂をじっと見つめる。
6年前。
お姉ちゃんに初めて二階堂の写真を見せてもらった。
入社した日。
初めて実物を見て、写真のイメージのままだと思った。
いまその男が、私のこんなに近くにいる。