きみと、どこまでも堕ちていきたい
頭で考えるより、体が先に動いていた。
私は二階堂の背中を追いかけ、彼の左腕を掴む。
「待って」
私がそう言うと、一瞬立ち止まってから私の方を振り返る。
6年前、お姉ちゃんから見せてもらった、二階堂の写真。
いま、その男の目に映っているのは、まぎれもない“私”だった。
「行かないで」
そう言って、今度は私からキスをした。
いま、私にキスをされながら二階堂は何を思っているのだろう。
唇を離して、二階堂を見つめる。
二階堂は少し驚いたような表情を見せたあと、私のことを抱き寄せて、もう一度キスをした。
私を力強く抱き締めて。
何度も、何度も。