きみと、どこまでも堕ちていきたい
「きゃっ!ああ、もう悠真(ゆうま)ったら」

男の子がオレンジジュースをひっくり返す。
雫は机を伝って床へとぽたぽたと零れていく。


「少し服濡れちゃったね。ハンカチは…あら、忘れちゃったかな…」

「どうぞ」

ハンカチを探す莉菜に、私は自分のピンク色のハンカチを差し出す。

「ありがとうございます。でもあなたのハンカチが汚れちゃうわ」

「いいんです。お子さんの服が濡れているので、拭いてあげてください。床にも零れているので、店員さんに布巾をもらってきますね」

「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて。本当にすみません!」

「お気になさらず」

これが、二階堂莉菜と初めて会話を交わした日だった。
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