きみと、どこまでも堕ちていきたい
復讐の幕が上がる
「今日からうちの部署に配属になった新入社員の滝川(たきがわ)さんです。じゃあ、みんなの前で挨拶してくれる?」
部長の横に立っている私に、その場にいる社員全員の視線が注がれている。
卸したてのスーツを着て、ワイシャツのボタンを上までぴっちり止めているので、少し息苦しい。
新品のヒールで足も痛い。
靴ずれしてるなあ。
私は軽く深呼吸して、心臓の鼓動を落ち着かせた。
「今月入社しました、滝川瑠璃(たきがわるり)と申します。不慣れなことが多く、ご迷惑おかけするかもしれませんが、精一杯頑張りますので、ご指導よろしくお願いいたします」
緊張のなか、自己紹介を言いきって胸を撫で下ろす。
そのあとすぐに、社員全員から拍手でむかえられる。
「みなさん、指導お願いします。では、自分のデスクに戻り、仕事をはじめてください。本日もよろしくお願いします」
部長がそう言うと、全員が“よろしくお願いします”と復唱し、それぞれのデスクに戻っていく。
「では、滝川さん。デスクに案内しますね」
「はい」
そう返事をして、部長のあとに続いて移動しようとしたときだった。