きみと、どこまでも堕ちていきたい
「…ありがとうございます!靴ずれしていること、よくわかりましたね」
「たまたまだよ。俺も新しい靴だとよく靴ずれするからさ」
「優しいんですね。絆創膏をもっているなんて、準備がいいんですね」
「妻に持たされてただけだよ。俺、よく怪我するから」
“妻”
その言葉に反応する。
さぞかし、幸せな家庭を築いているんでしょうね。
「そうなんですね。すごく素敵な奥様ですね!」
「まあね。俺にはもったいないくらい出来る奴なんだ」
私が褒めると、二階堂はそう言って嬉しそうな、少し照れた表情をみせる。
その表情をみて、私の心はますます黒く染まっていく。
…よくそんな顔をして笑えるよな。
不倫してたくせに。