きみと、どこまでも堕ちていきたい
姉が愛した男


「二階堂さん」

昼休みになったタイミングですぐに立ち上がって二階堂のもとへ向かい、後ろから声をかけた。

「ああ、滝川さん。どうしたの?」

「先ほどは絆創膏ありがとうございました。もう一度お礼が言いたくて」

私がそう言うと、二階堂は声を出して笑う。
…その笑顔、虫酸が走る。

「滝川さんは律儀だね。僕は当たり前のことをしただけだよ。気にしないで」




まずは、育ちが良くて律儀な女の子だと印象付ける。



「…本当に、優しいんですね。
そんな二階堂さんにお願いがあって…。
社内のどこになにがあるかわからなくて、
お時間よろしければ食堂に案内していただけないでしょうか」

「ああ、そうだよね。全然いいよ。ついでに昼ごはん一緒に食べようか。奢るし」

「そんな…!悪いです。
絆創膏もいただいて、ご飯まで奢っていだくなんて」

「いいよいいよ。入社祝いだと思ってもらえれば」

「ありがとうございます…!ではお言葉に甘えて」

2人で昼御飯は、二階堂の懐に入るチャンスだ。絶対逃すまい。
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