8月25日(後編)
傷つくほうがおかしいよね。


水樹くんも前を向いたってことか…。

「夏目、さん…?」

見ると平野くんがドアから顔を覗かせていた。


「平野くん…」

「どうだった?友達になれた?」


と聞きながら教室に入ってくると、そばまできて足を止めた。

「あ〜それが…ダメだった。見事に断られたよ」

そう言って平野くんに笑顔を向けた。


「夏目さん…」

「いいの、これで。だってよくよく考えたら振ったのはわたしなのに友達って…おかしいよね!」

「慧はそういうつもりで断ったんじゃないと思うよ?」

「…平野くんはいつもそうやって慰めてくれるよね。今までもすごく救われてきた…ありがとう」


だけど、今日だけはその慰めさえもつらく感じてしまう。


だから、もう何も言わないで…。
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