8月25日(後編)
「俺が余計なことを言ったばかりに夏目さんを傷つける形になって申し訳ない」

と少し頭を下げる平野くん。


「やめて。平野くんのせいじゃないし、これは誰のせいでもないから。わたしなら大丈夫!ほら、もう戻ろ?」

こうしている間もみんなは作業してくれてるんだ。


時間を無駄にはできない。

平野くんと教室に戻ると、和子と朝陽はわたしの雰囲気から感じとってくれたようで、何も聞いてこなかった。

それが逆に気を使わせてしまった気がして胸が痛んだ。



ーー放課後…


「ごめん、先に行くね」

和子たちにそう声をかけると教室を出た。


やばい、急がないと遅刻だ!

と足を早めた時…


中庭を歩く2人の姿が目に飛び込んできた。
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