８月２５日（後編）
「和子、お土産見に行かない？」

落ち込み気味の和子に声をかけると頷いてくれ、一緒に部屋を出た。

「和子、さっきのことだけど…朝陽はもう違うから」


エレベーターに乗り込んですぐにそう言った。


「…うん、わかってる」

「水樹くんとのことを応援してくれてたくらいだから、朝陽の気持ちはもうわたしにはないよ」

「わかってる…でも、だからってわたしに気持ちが向くのは違うかもしれないでしょ？」

「違わなくないよ。だって、和子いい子だし可愛いから朝陽だってきっと」


そう言ったタイミングでエレベーターのドアが開き、朝陽と平野くんの姿が見えて驚く。


このタイミングで…？

まるで仕掛けられていたようなタイミング。


「お、２人どこ行くの？」

エレベーターに乗ってくるなり、平野くんが口を開いた。
< 235 / 499 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop