8月25日(後編)
その背中を少し追うと足を止めた平野くん。

「2人きりにさせたかったんでしょ?」

「えっ…平野くん、それで?」

「まぁ、そんなとこ。花丘どうしたの?」

「色々あって…でも、朝陽がいれば大丈夫だと思う。だから、ありがとう」


ほんとに平野くんは気がきく。

よく周りを見てくれてるよね。


「そういえば、慧と寄り戻したって?」

平野くんはそばにあったソファに腰を下ろしながら尋ねてくる。

「うん、おかげさまで気持ち伝えることができました」

「それはよかったね。ってことは、また慧の惚気話し聞かされるんだね、俺」


と平野くんが笑う。


惚気話し…

それはわたしも聞いてみたい。

水樹くんがどんな風に言ってくれているのか気になる。


「慧のこと、大事にしてやって。俺が言うのも変だけどさ、慧はほんといい奴だから」
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