8月25日(後編)
真面目な顔をする平野くんは珍しい。

それほど水樹くんを思っているんだろう。


「うん、大事にする」

今度こそ、って言い方はおかしいけど、自分なりに水樹くんを大事にするつもりだ。


「ね、奈々にお土産買おうと思ってるんだけど、何がいいと思う?やっぱりお菓子かな?」


と平野くんから相談をしてきてくれたのは初めてで、驚きの反面嬉しくなる。

そんな平野くんから少し距離をあけてソファに腰を下ろす。

「お菓子か〜…」

「じゃ、夏目さんは何貰ったら嬉しい?」


と聞かれ、返事に困る。


そこまでは考えてなかった。

でも、わたしだったらお土産は何貰っても嬉しい。

相手からのその気持ちが一番嬉しい。


「きっと、何渡しても喜んでくれるよ」

「夏目さんは奈々を知らないからそう言えるんだよ。あいつ、文句しか言わないから」
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