8月25日(後編)
「紗良、逞は?」

朝陽の視線が和子からわたしに向く。

「平野くんなら部屋に戻ってると思う」

「そっか」


平野くんはお土産見なくてよかったのかな?

まぁ、今の平野くんの頭の中は奈々ちゃんのお土産でいっぱいか。


「じゃ、また後で」

朝陽はそう言うと先にエレベーターをおりて行った。

どうやら男子の部屋は一つ下の階らしい。


「紗良、さっきはごめんね?気使ってくれたんだよね?」

ドアが閉まるとすぐに和子が謝ってきた。

「ううん、気にしないで?それより朝陽といい感じみたいだね?」

「あ〜うん、まぁ…」

と頬を染める姿が可愛い。


和子にこんなに思ってもらえる朝陽は幸せ者だね。

「わたし…修学旅行が終わったら告白しようかな」

と言った和子は自信と勇気が出たみたい。
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