8月25日(後編)
でも、やっぱり水樹くんの後ろ姿が一番好き。

その背中にすぐにでも触れたくなるほど。


なんて呑気なことを思っていると「やばっ!時間過ぎてる!」と声をあげた平野くん。

その声に腕時計に目をやると、確かに指定時間を10分も過ぎていた。


「走ろっ!」

と朝陽の声にみんな走り出す。

え、ここからホテルまで結構距離あるよ?…

そこまで走る気!?


と思いつつ走るけど、体力に自信がないわたしはすぐにバテてしまう。

足には自信があっても、体力がないなら意味なんてないね。


そんなことを思いながら、みんなの背中を追っていると水樹くんが振り向いたのがわかった。


「紗良ちゃん大丈夫?あと少し走れる?」

「あ、うん。大丈夫」

と言ってみるけど結構きつい。


「あと少しだから頑張って走って」

水樹くんはそう言うと、わたしの手を握って走り出す。


きっと、水樹くんならもっと早く走れるよね。
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