8月25日(後編)
そう言った和子に顔をあげる。


「なんだろ?他の男子とは違うっていうか…慧くんとは見つめ合うことなんてできない」

和子はそう言うと「だから紗良はすごいね」と笑った。


「慧くんこそ完璧だよね!かっこよくて頭よくて、スポーツもできる!そして優しい!」

と言った山岡さんに教えてあげたい。

唯一、片付けが苦手だよ、って。


でも、それはわたしだけが知っておきたいことでもある。


だから、何も言わずにいよう。

「いいな〜。みんなアオハルしてて」

山岡さんはそう言うと、小さくため息をついていた。


その時、部屋いっぱいにチャイムが鳴り響いた。

こんな時間に誰だろう?

先生?


でも、就寝時間には少し早すぎる。


藤代さんが立ち上がり対応してくれると、黙ってそのやり取りを伺う。
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