8月25日(後編)
少しすると「夏目さん、呼ばれてるよ」と藤代さんが顔を覗かせた。

「え?わたし?」


誰?なんの用?…

と不安な気持ちのまま立ち上がると「慧くんだよ」と藤代さんが教えてくれた。


「水樹くん?」

急いで向かうと、そこには確かに水樹くんの姿が。

「紗良ちゃん、急にごめんね?ちょっと今から抜けれる?」

「今から?」

抜けれないこともないけど…今から?


これ先生にバレたらまたお説教だよね?

「うまく誤魔化しとくから行ってきな」

と背中を押した和子に驚く。


「ごめん、花丘さん、ちょっと紗良ちゃん借りるね」

水樹くんは和子にそう言うと、わたしの腕を掴み早足で歩き出す。


「バレたら終わりだから」


と言った水樹くんはなんだか楽しそう。
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