8月25日(後編)
でも、それでこの指輪を選ぶなんてことはあるのかな?


「それで気になったから長谷川に聞いて教えてもらった」

「え、朝陽に?」

「花丘さんの後ろをずっと長谷川がついて回ってたから」


そうだったの!?

気づかなかった…。


ってことは、わたしがこの指輪を欲しがっていたことを朝陽は知ってたんだね。

「でも、ほんとに貰っていいの?わたし、水樹くんに何も買ってないし…」

わたしだけ貰うってのは気がひける。


「逆に貰ってくれないと凹む。それに、似合ってるよ?指輪」

と言われ、視線を落とす。


似合っているかどうかは別として、やっぱりこの指輪は可愛い。

まさかプレゼントしてくれるなんて思ってもいなかったから反応が薄くなったけど、これでも結構喜んでいる。


「ありがとう、水樹くん。大事にする」

そう言うと優しく笑ってくれていた。
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