8月25日(後編)
和子はズルい。

どんどんとわたしを悪の道に誘い込むから。


そんなこと言われたら気になるし、不安にもなる。


それに前から気になっていた。

慧くんはどんな風に告白を断っているのかと。

…ということで様子を見に行くことに。


もちろんほんの少しだけ!!


「でも、体育館の裏に呼び出すなんてベタだね」

体育館へと続く渡り廊下で、和子がそう言った。

だけどこの学校では、体育館の裏で告白すると思いが通じる、というジンクスがあった。


きっと、そういうのもあって体育館の裏を指定したんだろう。


でも、わたしからしたらそのジンクス通りになるとなれば困るわけで…。

「あ、いたいたっ」

和子の興奮気味の声に顔を上げると、慧くんと女子1人の姿が見えた。


お互い向き合った状態で会話をしている。


その姿にとりあえず安心する。
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