8月25日(後編)

時間という薬

ーー数日後…


昨日、始業式があり、今日から新学期…

3学期が始まった。

「今日は進路希望の用紙を配るぞ〜。今週中に書いて提出するように」


朝礼が終わる間際に聞こえた先生の声にズドーンと気が重くなる。


今週中って…

あと2.3日のうちに進路を書くなんて無理だ。

そんな日数で将来を決めるなんてできない。


進路希望の用紙を見ながらため息が出る。


「紗良はまだ何も決めてないんだっけ?」

「うん…みんな、もう決まってるのかな…」

和子は用紙が回ってくるなり、すぐに志望欄を埋めていた。


きっと、朝陽も平野くんも同じ。


「進路は決まってても、夢を叶えられる人ってごく僅かだと思う。わたしも叶えられるかわかんないよ」

そう言った和子の顔は曇りつつある。
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