8月25日(後編)
「ほんとに大丈夫だから」

そう言うのが精一杯だった。

水樹くんは誰がどう見てもかっこいいのに、その隣にいるわたしときたら……

はぁ。


この浴衣もわたしの中では結構お気に入りだったけど、それさえも自信無くすな〜…。


それに水樹くん…

何も言ってくれないし。

何も言ってくれないってことは、そういうことだもんね。


肩を落としながら着いた会場は去年同様賑わっていた。


「やっぱり多いね…紗良ちゃんはぐれないでね」

そう言うと手を握られた。

こうして手を繋ぐことなんて、これまでにもあったはずなのに今日はやけに緊張してしまう。


それはきっと、水樹くんの容姿が原因だろう。

浴衣を着た水樹くんはいつもと雰囲気も違うし、髪型だってしっかり整ってる。
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