8月25日(後編)
指輪だって……


ほんとは嬉しかったんだ。

「ね、好きだけじゃどうにもならない、って言うけどさ?お互いが思い合う温度差が同じなら、どうにかなっていくと思うんだよね」

「…南…」

「わたしも恋愛経験ほぼないから説得力ゼロかもだけど、紗良と慧のお互いを思い合う温度差は同じなんじゃない?」


そう言って優しく笑う南は、説得力ゼロなんかじゃない。

むしろ、ありすぎるくらいだ。


だって、かなり胸に響いたもん。

お互いを思い合う温度差…

慧くんと一緒、なのかな?


わたしがこの6年間思い続けたように、慧くんも思ってくれていたのかな。


そういう意味を込めて、指輪を準備してくれてたのかな…?

「三度目の正直ってよく言うし!次こそはうまくいくはずだよ。だから、自分の気持ちに素直になって、慧に連絡してみたら?」

……泣きそうだ。


南に背中を押してもらうとは…。


「連絡してみる。ありがとう、南」

「もう〜世話が焼けるんだから」


あれから日数経ってしまったけど、連絡してみよう。
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