8月25日(後編)
ーー3月半ば…

慧くんに連絡をした時から2ヶ月以上が経った頃、不意に鳴った着信を何気なく取った。


その相手が慧くんだったのにはかなり驚いた。


内容は、仕事が落ち着いたから会いたい、と。

もちろんそう言われるとわかってはいたけど、いざ言われるとドキドキがうるさかった。

と同時に、わたしの気持ちも伝える日がきたのだと…


電話を切った瞬間から緊張だった。



それから約束の日まで、正直仕事も手につかなかった。


その証拠に天宮さんからの声がしょっちゅう飛んできていた。


「紗良、そろそろ出なくていいの?」


隣のデスクから聞こえた南の声に時計に目を向ける。


「やばっ、急がないと」


18時を過ぎた時計に慌てる。


慧くんとの待ち合わせ時間は19時。


そして、集合場所は会社から1時間近くかかる。



急いで出ないと待たせることに。


「後はやっとくから行ってきな」
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