8月25日(後編)
「お腹空いてる?よね。どっかお店入ろうか」

と歩き出す慧くんの一歩後ろを歩く。

本当は隣を歩きたいけど、まだ並んで歩く勇気はない。


それにしても、スーツ姿の慧くんは新鮮。

すっかり大人の仲間入りをしている慧くんにドキドキする。

この6年…

慧くんはどんな風に過ごしてきたんだろう?

聞きたいことはたくさんある。

「適当にこの辺入ってみる?」

「うん、そうだね」

ここは通学路で毎日のように通っていたけど、あの頃とは違って新しいお店がたくさんできていた。

6.7年も経てば、変わってしまうのは当たり前か。


適当に入った居酒屋で慧くんと乾杯する。

まさか慧くんとお酒を飲む日が来るとは…。

少なくとも、1年前のわたしには想像できなかったことだ。

「紗良ちゃん、ほんとに綺麗になったね。この前見た時驚いた」

「そう、かな?でも慧くんも大人の雰囲気出てるよ。…かっこいい」

最後の言葉は恥ずかしさから小声になってしまったけど、照れる慧くんを見ると聞こえたようだ。
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