8月25日(後編)
「国際…弁護士…」

す、すごい…!

「どうせなら英語をいかした仕事に就きたくて、必死に勉強して弁護士に」

「…慧くんらしいね。国際弁護士…慧くんにピッタリだよ」

「ん〜でも俺なんて全然だよ?」

「それはみんな同じだよ。わたしだって全然だし、編集という仕事が未だに自分に合った仕事なのかも怪しいし」

一つの企画が通っただけで自信なんてまだまだ持てない。


「でも紗良ちゃんは頑張ってるよ」

「え?」

「ケビンから紗良ちゃんの頑張りは聞いてたから」

どうやらわたしの情報はケビンを通して筒抜けだったらしい。

なんだか恥ずかしい。


それからは、カナダでの生活をたんまりと聞いた。

楽しそうに話してくれる慧くんから目が離せなかったのは、久しぶりに会ったからかな?

「もう少しだけ時間ある?」

居酒屋を出てそう尋ねてきた慧くんに頷く。

すると、慧くんはあるところに向かって歩き出した。
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