8月25日(後編)
でもそれは、きっとわたしも同じ。

「大人になった紗良ちゃんも、やっぱり甘い匂いがする」

そう言うなり、力強く抱きしめてくる。


そういえばそんなことも言われてたね。

未だにその匂いがなんなのかわかってないけど、慧くんにそう言われるたびに気持ちが弾む。

愛おしいと思ったら、またハグをしていいんだよね?

だってもう…


こんなに近くにいるんだもん。

これまで愛おしいと思っていた時、慧くんから貰ったテディベアを抱きしめていたことは言わないでおこう。

さすがにいい大人が恥ずかしいからね。


そんなことを思いながら慧くんの背中に手を回した。


15歳の春…

わたしと慧くんの小さな物語は始まったけど、本当の物語はここから始まるのかもしれない。

だって、慧くんを好きな気持ちはあの頃より遥かに大きいから。


また一から始まる慧くんとの物語…

それは最強で最高のハッピーエンドに違いない。




【8月25日(後編)】 fin ..


あとがき→→
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