8月25日(後編)
朝陽にお茶を渡しながら嘘をついた。


「紗良…何か元気なくない?誕生日なのに」

「そんなことないよ」

「ならいいんだけど。何かあるなら話し聞くよ?」


どうして朝陽はそんなに優しいんだろう。

わたしが朝陽の立場だったら、そこまで優しくできないと思う。


それに誕生日だって…

祝ってもらうほど朝陽に何もできてないのに…。


「まぁ、でも…紗良には水樹がいるし、相談は水樹にするよな。俺の出番はないか」


そう言うとお茶を一気に飲み干し立ち上がった。


「じゃ、俺は帰るよ。水樹と楽しんで?」

と言い残し出て行った。


何でだろう…

何か…虚しい…。


もう朝陽には頼れないような気がした。
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