8月25日(後編)
とりあえずここから出よう、と立ち上がりたいけど足に力が入らない。

そうこうしているうちに震えが止まらなくなり…


「はぁ、はぁ…っ」

うまく呼吸ができなくなる。


あ……

頭から血の気が引いていくと同時に気が遠くなるのがわかった。


そこで完全に意識が途絶えた。



別に夢なんて見なかった。


ただ…心地の良い温もりに包まれていた気がしたのは確かで…。


気づくと見覚えのある天井が見えた。

「この匂い…」

ふんわり香るこの匂いに覚えがある。


ゆっくり体を起こし部屋を見回すけど、この部屋の主の姿は見えない。
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