8月25日(後編)
「あ…」

さっきから何か違和感があると思っていたのはこれのせいだ。

わたし、着替えさせられてる。


そっか。

びしょ濡れだったんだっけ?


もう一度、部屋を見回すとあるものに目が止まった。

「…渡してくれたんだ…」

机の上に置かれていたのは、数時間前までわたしが持っていたもの。

そして、無理矢理押し付けたもの。


それは水樹くんへのプレゼントだ。

どうやらわたしは水樹くんの家に運ばれたらしい。

もうここに来ることはないと思っていたんだけどな…。


「帰らないと…」


耳を澄ませたところ雨は降っていないようだ。

帰るなら今がチャンスだろう。


とベッドから立ち上がったタイミングでドアが開いた。
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