8月25日(後編)
「じゃ、最後にわがまま聞いてくれる?」

そう言った水樹くんの顔はどこか寂しげで…


だけど優しさもあるような…

そんな表情だった。


「抱きしめさせて?」

とまるで壊れ物を扱うように優しく、弱く抱きしめられた。

そんな水樹くんは少し震えてる気がしたけど、気づいてない振りをした。


「好きだよ…ずっと、これからも」

……わたしも好き…だよ。

本当はそう言いたかった。


17歳の誕生日…

わたしは大好きな人と別れた。


何でだろう…


不思議と悲しくはなかった。

それよりもホッとした気持ちが勝っていて、何かから解放された気がして気持ちが軽かった。

水樹くんに対する気持ちってその程度だったのかな?…

そんな自分が情けなくも感じて…


17歳のスタートは色んな感情から始まった。
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