8月25日(後編)
「ちょっと平野くんっ」

今のはさすがにないだろう。


「夏目さんと慧って似てるよね」

「え…」

「寄り戻せとは言わないけど、せめて友達には戻ったら?2人に気使う俺たちの身にもなってほしいよ」

平野くんは冗談混じりで言ってくれていたようだけど…

すごく胸に刺さった。


確かにわたしは自分のことばかりだった。

周りの人たちに気を使わせていたとは…。


今思えば、和子も朝陽も水樹くんのことになると気を使ってくれていた気がする。


何気なく水樹くんの名前を出すのも、それは気を使って普通に話題にしてくれていたんだろう。

そう思うとすごく申し訳なく思えた。


「そうだよ、慧くんと友達になったら?」


和子は笑顔でそう言った。


隣の朝陽も同感のように笑顔だ。
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