それは夕立とともに
「恋愛ジンクス?」
「そっ。スマホが主流になる前に出回った都市伝説なんだけどね。好きな人の名前を数字変換して押した後に、受話器に告白するんだって。"〇〇さん、好きです"っていうふうに」
「へぇ」
「そうしたら近日中に両思いになれるらしいよ? 凄くない?」
「……うん、まぁ」
適当な相槌を打ちながら残り少なくなったカフェオレをストローで啜った。
うさんくさい。いかにも女子が好きそうなジンクスだ。
昼飯どき、あの場所に何故電話ボックスがあるのかという話題でツレ連中と盛り上がっていた。
暑い初夏に涼を求めてか、きっと何かしらの曰くがあるから撤去できないんだよ、とツレは大真面目な顔で予想した。
すると聞き耳を立てていた女子が、違う違うと横槍を入れてきたのだ。
「恋愛ジンクスがあるから撤去に反対されてるんだよ、きっと」
正直なところ、うさんくささは拭えなかったが、別の女子もその話を知っていたし、何なら部活のマネージャーも常識とばかりに知っていた。