京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
「彼女、どうかしたの?」
「うちの旅館の脇道で倒れているところを見つけました。自分の名前を思い出すことができないらしいです」
純一の説明に受付の女性は驚いたように目を見開き「少し待っていてね」と言い残して奥へ引っ込んでいった。
待合室の椅子に座ってしばらく待っていると診察室のドアが開いて白衣を着た長身の男性が出てきた。
黒縁ネガメがよく似合う、インテリ系のイケメンだ。
「松尾、今日は珍しい拾い物をしたらしいな」
楽しむように声をかけられた純一は顔をしかめた。
「拾い物じゃない」
純一はムッとした表情で言い返す。
言葉の調子が急に崩れたことで、2人の中の良さを伺い知ることができた。
「で、君は記憶がないんだって?」
右胸につけられたネームに飯田と書かれているその医師はこちらへ意識を向けて言った。
「はい」
「自分の名前も?」
「はい。思い出そうとすると、頭が痛くて」
「ふむ。無理に思い出そうとしなくていいから、ちょっと診察室へ来てくれる?」
物腰の柔らかな言い方に安心して先生の後ろをついていく。
その後ろから純一もついてきた。
「うちの旅館の脇道で倒れているところを見つけました。自分の名前を思い出すことができないらしいです」
純一の説明に受付の女性は驚いたように目を見開き「少し待っていてね」と言い残して奥へ引っ込んでいった。
待合室の椅子に座ってしばらく待っていると診察室のドアが開いて白衣を着た長身の男性が出てきた。
黒縁ネガメがよく似合う、インテリ系のイケメンだ。
「松尾、今日は珍しい拾い物をしたらしいな」
楽しむように声をかけられた純一は顔をしかめた。
「拾い物じゃない」
純一はムッとした表情で言い返す。
言葉の調子が急に崩れたことで、2人の中の良さを伺い知ることができた。
「で、君は記憶がないんだって?」
右胸につけられたネームに飯田と書かれているその医師はこちらへ意識を向けて言った。
「はい」
「自分の名前も?」
「はい。思い出そうとすると、頭が痛くて」
「ふむ。無理に思い出そうとしなくていいから、ちょっと診察室へ来てくれる?」
物腰の柔らかな言い方に安心して先生の後ろをついていく。
その後ろから純一もついてきた。