京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。

☆☆☆

どうにかお世話になる従業員の方たちに挨拶を済ませた春菜はヒロミに着付けをしてもらっていた。


「他にも従業員さんは沢山いるけど、その人達とはまた徐々に挨拶してけばいいから」


「はい」


純一の両親とはここに泊まることが決まった当日の内うにもちろん挨拶を終わらせている。


その時も反対覚悟だったが純一の両親は困っている人をほっておけなおい性格らしく、記憶が戻るまでここにいてもいいと言ってくれた。


純一の性格はこの両親から受け継いだものみたいだ。


「それとも、そんなに長くここにいるつもりはない？」


ヒロミの言葉に春菜は「え？」と聞き返した。


「ここにいたとしても、従業員じゃなくて若女将としてだって考えているの？」


なにを言われているのか理解ができなかった。


「記憶喪失だなんてどうせ嘘なんでしょう？」