京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
☆☆☆
「マツさんの料理、どれもこれも美味しかったです!」
すっかりお腹いっぱいになって事務所へ戻ってきた春菜は興奮冷めやらぬ様子で言った。
「そう言ってもらえると僕も嬉しいです。マツさんは僕の母の弟なんです」
「そうだったんですね!」
そう聞いて更に驚いた。
純一の父も母も、それは才能のある家族に恵まれていたみたいだ。
「それで、午後からの仕事についてなんですが」
まだ試食に余韻に浸っていた春菜はその言葉に顔を引き締めた。
「はい」
「午後からはヒロミさんと一緒にフロントに立っていただきたいと思うのですが、できそうですか?」
「フロントですか?」
春菜はまばたきをして聞き返した。
習えばできなくはないと思うが、初仕事でフロントに立つことになるとは思ってもいなかった。
もちろん、旅館やホテルのやり方によって違うだろうけれど。
「はい。春菜さんの場合は少し特例なので、いろいろな人を見て会話をするのもいい刺激になると思うんです」
その言葉に、春菜は純一が記憶喪失のことを言っているのだと気がついた。
フトントに立っていろいろな人を見ていれば、記憶に蘇ってくることもあるかもしれない。
そうとわかると、断ることはできなかった。
春菜は素直に「はい」と、頷くのだった。
「マツさんの料理、どれもこれも美味しかったです!」
すっかりお腹いっぱいになって事務所へ戻ってきた春菜は興奮冷めやらぬ様子で言った。
「そう言ってもらえると僕も嬉しいです。マツさんは僕の母の弟なんです」
「そうだったんですね!」
そう聞いて更に驚いた。
純一の父も母も、それは才能のある家族に恵まれていたみたいだ。
「それで、午後からの仕事についてなんですが」
まだ試食に余韻に浸っていた春菜はその言葉に顔を引き締めた。
「はい」
「午後からはヒロミさんと一緒にフロントに立っていただきたいと思うのですが、できそうですか?」
「フロントですか?」
春菜はまばたきをして聞き返した。
習えばできなくはないと思うが、初仕事でフロントに立つことになるとは思ってもいなかった。
もちろん、旅館やホテルのやり方によって違うだろうけれど。
「はい。春菜さんの場合は少し特例なので、いろいろな人を見て会話をするのもいい刺激になると思うんです」
その言葉に、春菜は純一が記憶喪失のことを言っているのだと気がついた。
フトントに立っていろいろな人を見ていれば、記憶に蘇ってくることもあるかもしれない。
そうとわかると、断ることはできなかった。
春菜は素直に「はい」と、頷くのだった。