京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
☆☆☆
純一が言っていたとおり今日の午後からのフロントかかりはヒロミだった。
フロントには常に2人が立つことになっているようで、今日の相方は春菜ということになる。
それを知ったヒロミは一瞬大きく目を見開いて、そしてヒロミに背中を向けてしまった。
その様子に若干居心地の悪さを感じながらもフロントに立つ春菜。
まだなにも知らないヒロミは従業員の数に入れないのが通常だが、チャックインのお客様の数が少ないということで、ヒロミに教えてもらいながら業務をすすめることになってしまった。
「あ、あのヒロミさん」
ずっとそっぽを向いているヒロミにおずおずと声をかける。
「なに?」
「お客様が来る前にできるだけ業務を教えていただきたいのですが」
春菜は精一杯の笑顔で言う。
ここでヒロミに嫌われたら、本当に仕事を教えてもらえなくなってしまう。
しかしヒロミは春菜の言葉を無視してまたそっぽを向いてしまった。
手元では文庫本を開いている。
春菜は旅館の入り口を気が気ではない様子で見つめている。
いつお客様が入ってくるのかわからないのだ。
今入って来られたら対応に困ってしまう。
そう思っていたとき、カウンターの脇に接客マニュアルと書かれたファイルが引っ掛けられていることに気がついた。
ひとまずこれを読んで勉強しておくしかない。
純一が言っていたとおり今日の午後からのフロントかかりはヒロミだった。
フロントには常に2人が立つことになっているようで、今日の相方は春菜ということになる。
それを知ったヒロミは一瞬大きく目を見開いて、そしてヒロミに背中を向けてしまった。
その様子に若干居心地の悪さを感じながらもフロントに立つ春菜。
まだなにも知らないヒロミは従業員の数に入れないのが通常だが、チャックインのお客様の数が少ないということで、ヒロミに教えてもらいながら業務をすすめることになってしまった。
「あ、あのヒロミさん」
ずっとそっぽを向いているヒロミにおずおずと声をかける。
「なに?」
「お客様が来る前にできるだけ業務を教えていただきたいのですが」
春菜は精一杯の笑顔で言う。
ここでヒロミに嫌われたら、本当に仕事を教えてもらえなくなってしまう。
しかしヒロミは春菜の言葉を無視してまたそっぽを向いてしまった。
手元では文庫本を開いている。
春菜は旅館の入り口を気が気ではない様子で見つめている。
いつお客様が入ってくるのかわからないのだ。
今入って来られたら対応に困ってしまう。
そう思っていたとき、カウンターの脇に接客マニュアルと書かれたファイルが引っ掛けられていることに気がついた。
ひとまずこれを読んで勉強しておくしかない。