京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
ファイルを開いてみると、基本的な接客用語やお辞儀の角度などが細かに記されている。


更にページをめくっていくとフロント業務の一連の流れなども記載されていて、春菜はそれを丹念に読み込んでいった。


フロントの内側にはパソコンが設置されていて、それに顧客情報が入っているらしい。


お客様が来られたらまず名前を質問し、宿泊名簿を確認して照らし合わせる。


そしてカードキーをお渡ししてフロントにいる男性職員にお願いしてお客様を客室へ案内してもらう。


これがフロント係の大きな仕事みたいだ。


あとは客室から電話がかかってきた時に対応したり、お客様に道案内をしたりという業務も入っている。


道案内などに関しては記憶を失っている春菜にできることはなさそうだ。


そもそも自分がどこから来たのか、地元の人間なのかもわからないままなのだから。


そういうこうしている内に若い男女のカップルと思われう2人組が入ってきて、春菜は背筋を伸ばした。
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