京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
☆☆☆
今回純一が春菜を連れてきたのは渡月橋だった。
嵐山では最も有名な橋でもう日は暮れているというのに観光客で賑わっている。
「今日は桜のライトアップの日なんです」
前回同様旅館の着物を着た純一が下駄を鳴らして歩きながら、説明してくれた。
「綺麗ですね」
ライトアップされた桜の下に立ち、写真撮影している人も沢山いる。
下から照らし出された桜は昼間見るのとは少し違って、幻想的に浮かび上がって見える。
空には星が輝いていて、星と夜桜とを一緒に撮影しようとしている人も多くいた。
「あの、今日はこれを見せるために……?」
「はい。渡月橋のライトアップは見ておいて損はないですから」
確かにそのくらい美しい風景だ。
立ち止まって何時間でも見つめていることができるし、桜が散ってしまうのが途端に惜しくもなる。
「でも、あの……」
春菜が言いよどんでいるとふいに純一が手を握ってきた。
そのぬくもりにドキンッと心臓が高鳴る。
「ミスのことを気にしているんですか?」
「はい」
「ミスなんて誰にでもあります。僕なんか、未だに両親に怒られてばかりだ」
純一はそう言って苦笑を漏らす。
その表情に少し緊張がほどけて同じように笑った。
今回純一が春菜を連れてきたのは渡月橋だった。
嵐山では最も有名な橋でもう日は暮れているというのに観光客で賑わっている。
「今日は桜のライトアップの日なんです」
前回同様旅館の着物を着た純一が下駄を鳴らして歩きながら、説明してくれた。
「綺麗ですね」
ライトアップされた桜の下に立ち、写真撮影している人も沢山いる。
下から照らし出された桜は昼間見るのとは少し違って、幻想的に浮かび上がって見える。
空には星が輝いていて、星と夜桜とを一緒に撮影しようとしている人も多くいた。
「あの、今日はこれを見せるために……?」
「はい。渡月橋のライトアップは見ておいて損はないですから」
確かにそのくらい美しい風景だ。
立ち止まって何時間でも見つめていることができるし、桜が散ってしまうのが途端に惜しくもなる。
「でも、あの……」
春菜が言いよどんでいるとふいに純一が手を握ってきた。
そのぬくもりにドキンッと心臓が高鳴る。
「ミスのことを気にしているんですか?」
「はい」
「ミスなんて誰にでもあります。僕なんか、未だに両親に怒られてばかりだ」
純一はそう言って苦笑を漏らす。
その表情に少し緊張がほどけて同じように笑った。