京都、嵐山旅館の若旦那は記憶喪失彼女を溺愛したい。
夢の中
その夜、春菜は久しぶりにぐっすりと眠りに落ちていた。
その中で夢を見ていた。
場所はよくわからない。
周囲は暗闇に包まれていて見えなくて、だけど隣にいる人の顔だけはしっかりと見ることができた。
それは道の駅で会った、あの男だ。
黒田信吾と名乗ったあの男と自分は手をつないで歩いている。
そのときの春菜の気持ちは幸福で満たされていた。
好きな人と並び、手をつないで歩いている。
この幸せは永遠に続くものだと信じていた。
まわりが真っ暗だって、信吾の顔が見えていれば怖くもない。
それなのに……「ごめん春菜。別れてほしいんだ」
それは突然の告白だった。
春菜は唖然として信吾を見上げる。
背の高い信吾と視線を合わせる時はいつもこうやって顔を上に向けないといけなかった。
信吾も同じように下を向いてくれていたのに、今回は違った。
信吾の視線は春菜の方へは向かず、誰か別の人を見ている。
その中で夢を見ていた。
場所はよくわからない。
周囲は暗闇に包まれていて見えなくて、だけど隣にいる人の顔だけはしっかりと見ることができた。
それは道の駅で会った、あの男だ。
黒田信吾と名乗ったあの男と自分は手をつないで歩いている。
そのときの春菜の気持ちは幸福で満たされていた。
好きな人と並び、手をつないで歩いている。
この幸せは永遠に続くものだと信じていた。
まわりが真っ暗だって、信吾の顔が見えていれば怖くもない。
それなのに……「ごめん春菜。別れてほしいんだ」
それは突然の告白だった。
春菜は唖然として信吾を見上げる。
背の高い信吾と視線を合わせる時はいつもこうやって顔を上に向けないといけなかった。
信吾も同じように下を向いてくれていたのに、今回は違った。
信吾の視線は春菜の方へは向かず、誰か別の人を見ている。