透明な心、いつか輝きを増す日まで
「お先に失礼します」

僕は、同期でありプライベートで良く遊ぶ同性の宏さんと一緒に遅番と夜勤の職員に挨拶をすると、タイムカードを押すために事務所に向かう。

「……疲れたな。宏さん、明日は出勤?」

事務所までの廊下を歩きながら、僕は宏さんに話しかけた。

「明日も仕事だよ。明日は早番だから、早く帰れる……」

「良いなぁ……僕は、遅番だからな」

宏さんの言葉に、僕は宏さんを見つめる。宏さんは、僕の働く介護施設の職員の中で1番優しい。

僕は、同性愛者。宏さんに、僕は恋をしている。でも、宏さんには素敵な奥さんがいるんだ……だから、この気持ちはしまい込むしかないのかな……。

「……頑張って、としか言いよう無い……」

宏さんは、そう言って苦笑した。



「ねぇ、悠真(ゆうま)さん……ちょっと相談があるんだけど……」

翌日の休憩中。僕の隣で愛妻弁当を食べていた宏さんは、そう呟いた。

「どうした?」

近くのコンビニで買ったご飯を口に放り込みながら、僕は宏さんの方を見る。宏さんの横顔は、やっぱり綺麗だ。宏さんの切なげな表情に、僕の胸は高鳴った。

「悠真さんが仕事終わったら、どこかに食事行かない?その時、話そうと思うんだ」

「……うん」
< 1 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop