透明な心、いつか輝きを増す日まで
「……」

僕は、宏さんのせいで熱を持った顔を隠すように俯くことしか出来なかった。



「紅希、久しぶり!」

僕は数か月ぶりに会う友達の紅希に、手を振る。紅希も「久しぶり」と微笑んで手を振り返してくれた。

紅希と紅希の妻には、報いを受けてもらわない……とね?

その前に、さりげなく真由美さんのことをどう思っていたのか聞かないとなぁ。

「今日は、のんびりと散歩したい気分なんだ。歩きながら、雑談しない?」

僕の言葉に、紅希は「良いよ」と笑う。僕は、道を歩き出した。

「最近、仕事の方はどう?」

「まぁまぁかなぁ……この間、頭があまり働かなくてミス連発したけど……」

「そうなんだ……その日、疲れてたのかな?大丈夫?」

「うん。大丈夫……上司に心配されたよ。無理するなよって」

僕らは、適当に道を歩く。時々すれ違う人に挨拶をしながら、僕は話を続けた。

「優しい上司で良かったね……あ、そうだ……この間、実際に体験した怖い話でも話そうか?」

僕がそう言いながら、立ち止まって紅希に笑顔を向けると、紅希は震え出す。

「あはは、冗談だよ……」

僕は、そう言って笑い出した。紅希、ホラーが一番苦手なんだよな。

「ちょっ……!」
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