透明な心、いつか輝きを増す日まで
「ごめんごめん」

僕は気がすむまで笑った後、そう言って歩き出した。

「……やっぱ、悠真と一緒にいると楽しいよ」

弾んだ声で、紅希はそう言う。

「良く言われる。職場でもこんな感じだから、仲良い職員さんには呆れられてるよ」

「……悠真、ムードメーカーだもんね……」

「Yes！我は、周りを笑顔にする勇者だ。人々から笑顔を奪う悪は、我が倒してやる！」

僕がそう言うと、紅希は立ち止まった。僕は、立ち止まると後ろを振り返る。

「……じゃあ、真由美ちゃんが悪か……」

不意に紅希が漏らした呟き。その声は小さかったけど、でも確かにそう呟いていた。

「え……？」

聞こえなかったフリをして、僕が問いかけると紅希は「元恋人に、悪いことしたかなって」と僕から視線を逸らせる。

「……」

僕が紅希を見つめてると、紅希は戸惑ったような顔を見せた。

……宏さんは、真由美さんと結婚したことを話しても良いって言ってたし……そろそろかな。

「……それ、本気で言ってる？」

僕がそう問いかけてみれば、紅希は焦り出す。

「さっきの言葉、嘘なんでしょ？紅希の呟き、聞こえてたよ……真由美さんが悪って、どういうこと？」

「えっと……元恋人は……俺にずっと暴言を吐いてきて……それが苦しくて、別れたんだ！」
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