きみの瞳に、

何が何だか分かっていない様子の仁科さんが、俺が持っている物をようやく理解したようだ。

一瞬唖然とした後、俺と飴玉を交互に見つめてる。


あ、その表情、すごく可愛い……。

そんな顔して、俺を見ないでよ。触れたくなる。我慢できなくなる……。

彼女の、その柔らかそうな頬に触れたら、どんな感触なんだろう? その柔らかそうな唇に触れたら、どれぐらい甘いんだろう……?


仁科さんが、恐る恐る、ゆっくりと口を開ける。俺は手に持っていたタオルをパサリ、と床に落とした。

その手で優しく彼女の頬に触れる。

想像通り、いや、それ以上の柔らかく滑らかな感触に、思わずくらりと眩暈がした。全てがスローモーションに見える。


少し開けられた彼女の口に、イチゴ味の飴玉を優しくゆっくりと滑り込ませた。

飴玉が俺の手を離れたその時、ほんの一瞬、彼女の唇に俺の指が触れてしまった。

彼女の、とても柔らかく、綺麗な桃色の唇に……。

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